まさかこの歳になって、おたふく風邪にかかるとは思ってもみませんでした。あれは数年前の春のことです。最初はなんだか体がだるく、微熱があるなという程度でした。風邪でもひいたかな、くらいに軽く考えていたのですが、翌日になると片方の耳の下が明らかに腫れてきて、ズキズキとした痛みも出始めたのです。鏡を見ると、顔の輪郭が変わるほどパンパンに腫れていて、これはただ事ではないと直感しました。すぐに内科を受診したところ、医師から告げられたのは「おたふく風邪ですね」という診断でした。子供の頃にかかった記憶がなかったので、おそらく未罹患だったのでしょう。そこからの数日間は、本当に辛いものでした。まず、耳下腺の腫れと痛みがどんどんひどくなり、ピーク時には口を開けるのも、ものを飲み込むのも一苦労でした。食事はおかゆやゼリー飲料が中心で、体重も数キロ落ちてしまいました。そして、高熱。三十八度台後半から三十九度近い熱が数日間続き、体中の節々が痛むような感覚もありました。解熱剤を飲んでも一時的に少し下がるだけで、またすぐに熱が上がってきます。全身の倦怠感もひどく、起き上がっているのもつらい状態でした。私が特に心配だったのは、合併症のことです。大人の女性がおたふく風邪にかかると、卵巣炎になることがあると聞いていたので、下腹部に痛みが出ないか、常に気にしていました。幸い、私の場合は卵巣炎の症状は現れませんでしたが、その不安だけでも精神的にかなり負担でした。会社も一週間以上休むことになり、同僚にも迷惑をかけてしまいました。感染力が強い病気なので、家族にもうつさないように、家の中でもマスクをし、食器やタオルも別にするなど、気を使いました。一人暮らしではなかったので、食事の準備や身の回りのことを家族に頼らざるを得ず、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。回復するまでには二週間近くかかったと思います。腫れが完全に引いて、熱も下がり、ようやく普段の生活に戻れた時の安堵感は忘れられません。この経験を通して、予防接種の重要性を改めて感じましたし、大人がかかる感染症のつらさを身をもって知りました。もし、周囲でおたふく風邪が流行っていたり、疑わしい症状が出たりした場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
私がおたふく風邪に、大人の女性の体験