睡眠時無呼吸症候群は、夜間の睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする病気ですが、その影響は夜間だけでなく、日中の活動にも大きな影を落とします。質の高い睡眠が妨げられることで、日中に様々なつらい症状が現れるのです。最も代表的で、かつ生活への影響が大きいのが「日中の過度な眠気」です。夜間に何度も無呼吸や低呼吸を繰り返し、そのたびに脳が覚醒状態に近くなるため、本人は眠っているつもりでも、実際には深い睡眠がほとんど取れていません。その結果、日中に強い眠気に襲われ、会議中、運転中、食事中など、本来起きていなければならない場面で居眠りをしてしまうことがあります。この眠気は、コーヒーやエナジードリンクなどではなかなか解消されず、仕事の効率低下や集中力の欠如、さらには交通事故や労災事故のリスクを高める深刻な問題となります。次に、「倦怠感や疲労感」もよく見られる症状です。十分な睡眠が取れていないため、朝から体がだるく、疲れが抜けません。まるで常に時差ボケのような状態が続くため、何事にも意欲が湧かず、気力も低下しがちです。また、「集中力や記憶力の低下」も指摘されています。睡眠不足は脳の機能に直接影響を与えるため、物忘れが多くなったり、新しいことを覚えにくくなったり、注意力が散漫になったりします。これにより、仕事や学業のパフォーマンスが低下するだけでなく、日常生活でのうっかりミスが増えることもあります。さらに、「頭痛」も日中の症状として現れることがあります。特に起床時に頭痛を感じることが多く、これは睡眠中の低酸素状態や二酸化炭素の蓄積が原因と考えられています。日中も頭が重く、スッキリしない状態が続くことがあります。精神面への影響も無視できません。「気分の落ち込みや抑うつ状態」に陥りやすくなることも報告されています。睡眠不足は精神的な安定を損ない、イライラしやすくなったり、不安感が強まったり、物事を悲観的に捉えやすくなったりする傾向があります。また、日中の眠気や倦怠感から活動量が減り、社会的な交流が億劫になることで、孤立感を深めてしまうこともあります。これらの日中の症状は、単なる寝不足や疲れとして片付けられがちですが、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。もし、これらの症状に心当たりがある場合は、専門医に相談し、適切な検査と治療を受けることを検討しましょう。