それは何気ない日曜日の夜のことでした。愛犬と遊んでいた際、おもちゃを取り合っている最中に興奮した愛犬の牙が、私の右手の甲を強くかすめました。最初はチクッとした痛みがある程度で、小さな穴が2箇所開いただけだったので、私は水道水で洗い流し、市販の消毒薬を塗って放置してしまいました。しかし、数時間が経過した深夜、噛まれた場所が脈打つように痛み始め、みるみるうちに手の甲全体がパンパンに腫れ上がったのです。熱を持って赤く腫れ、指を動かすことさえ困難になった時、私は初めて事の重大さに気づきました。このままでは指が動かなくなるのではないかという恐怖に駆られ、私は深夜2時に開いている救急病院へと車を走らせました。病院に到着すると、看護師さんから「犬に噛まれたのを数時間放置するのは一番危ないんですよ」と厳しく諭されました。診察室では、医師が私の傷口を見て、すぐに強力な洗浄を開始しました。麻酔を打たれた後に、傷の奥まで洗浄液を流し込まれる感覚は、今思い出してもゾッとします。医師の説明によれば、犬の口の中にいるパスツレラ菌が皮下組織で急速に増殖し、炎症を起こしているとのことでした。もし受診が翌朝になっていたら、入院して手術が必要なレベルになっていたかもしれないと言われ、背筋が凍る思いでした。その日は抗生剤の点滴を受け、大量の飲み薬を処方されて帰宅しました。完治するまでに3週間の通院が必要となり、その間は利き手が使えず、仕事にも多大な支障が出ました。愛犬は悪気があってやったわけではないと分かっていても、腫れ上がった自分の手を見るたびに複雑な心境になったものです。この体験から私が得た教訓は、犬の噛み傷を甘く見てはいけないということです。どんなに小さな傷でも、唾液という菌の塊が体内に入った以上、それはもう「病気」なのです。もしあの時、面倒くさがらずにすぐに病院へ行っていれば、これほどまでの苦痛と不自由を味わうことはなかったでしょう。犬と暮らす以上、噛まれるリスクはゼロではありません。だからこそ、万が一の時にどこの病院へ行くべきか、夜間でも対応してくれる施設はどこかを事前に調べておくことが、飼い主としての責任なのだと痛感しました。今では傷跡もほとんど消えましたが、犬の口腔内の雑菌に対する警戒心だけは、あの夜の教訓として私の心に深く刻まれています。
愛犬に噛まれて病院の夜間救急へ駆け込んだ私の体験談