熱中症の応急手当において、現場の混乱を避け、最も効果的な処置を行うためのフローチャートを頭に入れておくことは、すべての市民にとっての義務と言っても過言ではありません。緊急時に迷わないための手順は、まず「意識の確認」から始まります。呼びかけに応じるか、自分の名前が言えるかを確認してください。意識がはっきりしている場合は、応急手当の第1段階として、涼しい場所へ移動させ、衣服を緩めて水分補給を行います。このとき、自力でペットボトルを持てるかどうかが、経口摂取を継続する一つの判断基準となります。水分補給には、塩分0.1%から0.2%の飲料を選び、少しずつ飲ませてください。一方で、意識が朦朧としている、返答が支離滅裂、あるいは完全に意識を失っている場合は、即座に応急手当の第2段階である「緊急搬送と積極的冷却」へ移行します。119番通報を最初に行い、その電話を切った直後から全身の冷却を開始します。氷嚢や保冷剤があれば、首、脇の下、鼠径部の3点を中心に配置し、ない場合は水道水を全身にかけて、団扇や看板、段ボールなど、風を送れるあらゆるものを使って仰いでください。この際、仰ぐのを止めないことが重要です。対流による冷却を維持するためには、常に新しい空気を皮膚の表面に送り続ける必要があります。応急手当を複数人で分担できる場合は、1人が冷却、1人が救急車との連絡、1人が本人の荷物や持病の情報の確認を行うのが理想的です。もし本人が嘔吐した場合は、喉を詰めさせないよう横向きに寝かせる「回復体位」をとらせてください。応急手当をしている最中に痙攣が起きた場合は、無理に抑えつけようとせず、周囲の危険物を取り除き、怪我を防ぐことに注力します。手足が冷たくなったり、顔色が青ざめたりしても、高熱があるうちは冷却を続けてください。熱中症の応急手当において、唯一の正解は「速やかに、かつ徹底的に体温を下げること」です。手順を複雑に考える必要はありません。涼しい場所へ運び、脱がせ、冷やし、水分を摂らせる。この4つの基本動作を、いかなる状況下でも迷わず実行することが、あなたに課せられた救命ミッションです。病院に引き継ぐまでの数分間、あなたが手を休めずに続けた応急手当が、その人の脳や内臓を致命的なダメージから守ります。準備不足を言い訳にせず、その場にあるものを最大限に活用して、命の火が消えないように冷やし続ける。それが、緊急時に求められる熱中症応急手当の完成形です。明日、あなたがその現場に居合わせたとき、この手順を思い出し、最初の一歩を迷わずに踏み出せることを願っています。
緊急時に迷わない熱中症の応急手当手順