消化器の専門医として日々患者さんと向き合う中で、胃腸炎に関する最も多い質問はやはり何科を受診すべきかという点です。私たちはまず、その胃腸炎が急性に起きたものか、それとも慢性的なものかを重視します。急激な嘔吐や下痢に襲われている患者さんの場合、まずは脱水を防ぐことが最優先ですから、近隣の一般内科で構いませんので、すぐに受診してくださいとお伝えしています。しかし、その診察の過程で、私たちは「ただの胃腸炎」ではない可能性を常に探っています。例えば、心筋梗塞や大動脈解離といった恐ろしい病気が、初期には腹痛や吐き気として現れることがあるからです。内科医はこうした全身の重大な疾患との鑑別を行うプロフェッショナルです。一方で、消化器内科として私たちが本領を発揮するのは、症状が少し落ち着いた後や、原因が不透明な場合です。胃腸炎と診断されたものの薬が全く効かない、あるいは腹膜炎の兆候があるといったケースでは、私たちが専門的な画像診断を駆使して本当の原因を特定します。特に、感染性胃腸炎の流行期には、待合室での二次感染を防ぐことも重要な課題です。病院を受診する際は、事前に電話で「激しい下痢や吐き気がある」と伝えていただければ、別室での待機を案内できることもあります。また、多くの人がやってしまいがちな失敗に、症状が治まった瞬間に通院をやめてしまうことがありますが、実はそこからが肝心です。胃腸の粘膜が完全に修復されるまでには、症状が消えてからさらに3日から5日はかかります。私たちは食事療法の指導も含めて、再発しないためのアドバイスを重視しています。何科へ行くにしても、自分の体の情報を正確に医師へ渡すことが大切です。最近、海外渡航をしたか、普段食べないようなものを食べたか、抗生物質を服用中か、といった情報は診断の決定打になることがあります。胃腸炎はありふれた病気ですが、その裏に潜むリスクを軽視してはいけません。適切な診療科を選び、医師との対話を通じて、根本的な解決を目指しましょう。私たちはあなたの消化器の健康を守るパートナーとして、いつでも最善の医療を提供できるよう準備を整えています。
消化器専門医に聞く胃腸炎の適切な受診先と注意点