あれは忘れもしない、数週間も咳が止まらなかった時のことです。最初はただの風邪だと思っていたのですが、市販の薬を飲んでも一向に良くならず、夜も咳で眠れない日が続きました。熱も微熱がだらだらと続き、体のだるさも抜けませんでした。さすがにおかしいと思い、近所の内科を受診することにしたのです。医師に症状を伝えると、「もしかしたらマイコプラズマかもしれませんね。最近、少し流行っていますし」と言われ、いくつかの検査をすることになりました。その一つが血液検査でした。正直、血液検査と聞いて少し緊張しましたが、看護師さんが手際よく採血してくれ、痛みもほとんどありませんでした。医師からは、「今日の採血と、もし症状が続くようなら二、三週間後にもう一度採血をして、抗体の変化を見ることがあります」と説明を受けました。その時は「ペア血清」という言葉は知りませんでしたが、後で調べて、それがマイコプラズマ感染を確定診断するための重要な方法だと知りました。数日後、最初の血液検査の結果が出ました。IgM抗体が少し陽性反応を示しているとのこと。ただ、これだけでは確定とは言えないので、やはり数週間後に再度検査をしましょうということになりました。その間も咳は続き、処方されたマイコプラズマに効くという抗菌薬を飲み続けました。そして、三週間後。再びクリニックを訪れ、二度目の採血。前回と同じように、あっという間に終わりました。さらに数日後、ドキドキしながら結果を聞きに行くと、医師から「前回の検査結果と比べて、抗体価がはっきりと上昇しています。マイコプラズマ感染症で間違いないでしょう」と告げられました。診断が確定したことで、治療方針にも迷いがなくなり、安心したのを覚えています。抗菌薬も最後まで飲み切り、あれほどしつこかった咳もようやく治まりました。血液検査は、目に見えない敵であるマイコプラズマの存在を明らかにしてくれる、心強い味方なのだと実感した経験でした。長引く咳で悩んでいる方は、一度医師に相談し、血液検査を受けてみるのも良いかもしれません。