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マイコプラズマ血液検査を受ける適切な時期
マイコプラズマ感染症の診断補助として行われる血液検査ですが、検査を受けるタイミングは結果の解釈に大きく影響します。適切な時期に検査を受けなければ、正確な診断情報を得られない可能性があるため注意が必要です。マイコプラズマに対する抗体は、感染してからすぐに作られ始めるわけではありません。一般的に、感染初期の指標とされるIgM抗体は、感染後約一週間から検出しうるレベルに上昇し始め、二週間から四週間でピークに達し、その後徐々に減少していきます。したがって、症状が出始めてから間もない時期、例えば発症後数日以内に血液検査を受けても、IgM抗体がまだ十分に上昇しておらず、偽陰性(本当は感染しているのに陰性と出る)となる可能性があります。そのため、ある程度症状が続いてから検査を受ける方が、陽性となる確率は高まります。一方、より確実な診断方法とされるペア血清(急性期と回復期の二度の採血で抗体価の変動を見る方法)の場合、一度目の採血は症状が出始めてからできるだけ早い時期(急性期)に行い、二度目の採血は一度目の採血から二週間から四週間後(回復期)に行うのが理想的です。この期間に抗体価が有意に上昇しているかを確認することで、最近の感染であることの確証を得やすくなります。ただし、患者さんの状態や医療機関の方針によって、検査のタイミングは異なる場合があります。例えば、症状が非常に典型的であったり、周囲でマイコプラズマ感染症が流行していたりする場合には、医師の判断でペア血清を待たずに治療が開始されることもあります。また、迅速診断キット(咽頭拭い液などを用いたもの)が利用できる医療機関では、血液検査よりも早く結果が得られることもあります。しかし、これらの迅速検査も万能ではなく、感度や特異度の問題から、血液検査による抗体測定が補助的に、あるいは確定診断のために行われることがあります。いずれにしても、自己判断で検査の時期を決めるのではなく、医師の指示に従うことが最も重要です。長引く咳や発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談の上、適切なタイミングで必要な検査を受けるようにしましょう。