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関節リウマチかと思った私のりんご病体験
あれは娘が通う保育園でりんご病が流行していた初夏のことでした。ある朝目覚めると両手の指がまるでグローブのようにパンパンに腫れ上がり、こわばってうまく曲げることができませんでした。熱も38度近くあり、体中の関節がギシギシと悲鳴を上げていました。特に手首と膝の痛みがひどく、立ち上がったりドアノブを回したりといった日常の何気ない動作一つひとつが激痛との戦いでした。私は自分の体に起きているこの異様な症状に、強い恐怖を感じました。インターネットで「朝の手のこわばり、関節痛」と検索すると、出てくるのは「関節リウマチ」という深刻な病名ばかり。私の母が関節リウマチを患っていたこともあり、「ついに自分も発症してしまったのか」と血の気が引く思いでした。私はいてもたってもいられず、すぐにリウマチ科のある総合病院を受診しました。診察室で症状を話すと医師も最初は関節リウマチを疑い、血液検査やレントゲン検査を行いました。結果が出るまでの数日間は将来への不安で生きた心地がしませんでした。しかし数日後再び病院を訪れた私に医師が告げたのは、予想外の診断でした。「リウマチの検査は全て陰性でした。しかしパルボウイルスB19の抗体価が非常に高くなっています。これはりんご病ですね」。りんご病。子どもの病気だと思っていたあのりんご病が、この激しい関節痛の原因だったとはにわかには信じられませんでした。しかしそう言われてみると数日前から腕や太ももに、うっすらとレースのような赤い発疹が出ていることに気づきました。りんご病には特効薬はありません。処方されたのは痛みと炎症を抑えるための消炎鎮痛薬だけでした。結局激しい関節痛が和らぐまでに2週間、そして指のこわばりが完全に消えるまでには一ヶ月以上の時間を要しました。あの時の関節リウマチかもしれないという恐怖と、りんご病だと分かった時の安堵感は一生忘れることができません。