巻き爪が悪化すると、爪が皮膚に食い込んでいる部分から細菌が侵入し、炎症や化膿を引き起こすことがあります。これを爪周囲炎(そうしゅういえん)や陥入爪(かんにゅうそう)の炎症期と呼びます。赤く腫れ上がり、ズキズキとした強い痛みを伴い、時には膿が出てくることもあります。このような状態になった場合、自己判断で対処しようとせず、速やかに医療機関を受診することが重要です。では、巻き爪が化膿してしまったら、どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。まず、皮膚の炎症や感染症の治療を専門とする皮膚科が適切な受診先となります。皮膚科医は、化膿している部分の状態を診察し、炎症の程度や感染の広がりを評価します。治療としては、まず細菌感染を抑えるために、抗生物質の飲み薬や塗り薬が処方されます。また、炎症や痛みを和らげるために、消炎鎮痛剤が用いられることもあります。化膿が進んで膿が溜まっている場合には、局所麻酔をして小さく切開し、膿を排出する処置(排膿処置)が行われることもあります。これにより、圧力が下がって痛みが軽減され、治癒が促進されます。皮膚科では、これらの炎症や感染に対する治療と並行して、巻き爪自体の治療(テーピングや矯正治療など)も検討されることがあります。ただし、炎症が強い間は、まず炎症を鎮めることを優先し、状態が落ち着いてから本格的な巻き爪治療を開始することが一般的です。形成外科も、化膿した巻き爪の治療に対応できる診療科です。特に、炎症が高度で、外科的な処置(例えば、食い込んでいる爪の一部の切除や、不良肉芽の切除など)が必要になるような場合には、形成外科医による専門的な対応が求められることがあります。また、再発を繰り返す難治性の巻き爪で、炎症を伴っている場合なども、形成外科での相談が適しているでしょう。もし、どちらの科を受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、近隣の皮膚科を受診してみるのが良いかもしれません。医師が状態を診察し、必要であればより専門的な医療機関を紹介してくれます。大切なのは、化膿している状態を放置しないことです。感染が広がると治療が長引いたり、重症化したりする可能性もあるため、早めに専門家の診察を受け、適切な治療を開始するようにしましょう。