大人のりんご病において患者を最も長く、そして深く苦しめる症状、それが「関節痛」です。熱や発疹はいずれ消えていきますが、このガラスの破片が関節に埋め込まれたかのようなしつこい痛みとこわばりは、日常生活の質を著しく低下させます。この出口の見えないような関節痛は、一体いつまで続くのでしょうか。大人のりんご病による関節痛は、その持続期間に非常に大きな個人差があるのが特徴です。一般的には発熱などの急性期の症状と共に始まり、その後の発疹期にも継続します。多くの場合、痛みは発症から2週間から4週間程度で徐々に軽快していくとされています。しかしこれはあくまで平均的な目安です。人によってはこの関節痛が数ヶ月間にわたって慢性的に続いてしまうというケースも、決して珍しくありません。特に中年の女性では症状が長引きやすいという傾向も報告されています。なぜこれほどまでに関節痛が長引くのでしょうか。その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、パルボウイルスB19が関節を覆っている滑膜という組織に親和性を持ち、そこで持続的な炎症を引き起こすためではないかと考えられています。またウイルスに対する体の免疫反応が過剰に働き、誤って自分自身の関節組織を攻撃してしまう自己免疫疾患に似たメカニズムが関与しているという説もあります。事実、大人のりんご病の関節痛はその症状の現れ方が「関節リウマチ」と酷似しており、鑑別が非常に重要となります。このつらい関節痛と付き合っていくためには、まず痛みが強い急性期には安静を保ち患部を冷やすなどして炎症を鎮めることが大切です。そして処方された非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛剤を適切に使用し、痛みをコントロールします。痛みが少し和らいできたら今度は無理のない範囲で関節を動かすリハビリテーションが重要になります。痛いからといって全く動かさないでいると、逆に関節が固まってしまう可能性があるからです。
りんご病の関節痛はいつまで続くのか