副鼻腔炎は、その症状の多様さや、風邪と間違われやすいことから、適切な診療科を選ぶことが早期回復の鍵となります。では、副鼻腔炎の専門的な診断と治療は、一体どの診療科が担っているのでしょうか。その中心となるのが、耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科医は、鼻や副鼻腔の構造と機能、そしてそこに起こりうる様々な疾患について深い知識と経験を持っています。副鼻腔炎が疑われる場合、耳鼻咽腔科ではまず詳細な問診が行われます。いつからどのような症状があるのか、鼻水の色や粘り気、鼻づまりの程度、頭痛や顔面痛の有無、嗅覚の変化などを詳しく聞き取ります。その後、専門的な診察が行われます。鼻鏡を使って鼻の入り口付近を観察するだけでなく、多くの場合、鼻腔内視鏡(ファイバースコープ)を用いて、鼻の奥や副鼻腔の開口部まで詳細に観察します。これにより、粘膜の腫れや炎症の程度、膿の有無、鼻ポリープ(鼻茸)の存在などを直接確認することができます。この内視鏡検査は、副鼻腔炎の診断において非常に重要な役割を果たします。さらに、炎症の範囲や重症度を客観的に評価するために、画像検査も活用されます。単純レントゲン撮影や、より詳細な情報が得られるCT検査などが行われ、副鼻腔内に膿が溜まっているか、粘膜がどの程度肥厚しているかなどを三次元的に把握します。これらの診察や検査の結果を総合的に判断し、副鼻腔炎の診断が確定されます。治療法は、病気のタイプ(急性か慢性か)、重症度、原因(細菌性、ウイルス性、アレルギー性など)によって異なります。急性副鼻腔炎であれば、抗生物質や消炎剤、去痰剤などの薬物療法が中心となります。鼻の処置として、鼻水の吸引やネブライザー療法(薬液吸入)も行われます。慢性副鼻腔炎で、薬物療法では改善が乏しい場合や、鼻ポリープが大きい場合には、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)という外科的治療が検討されることもあります。この手術も、耳鼻咽喉科の専門医によって行われます。このように、副鼻腔炎の診断から治療、そして手術に至るまで、一貫して専門的な対応ができるのが耳鼻咽喉科です。自己判断で様子を見たり、他の診療科で風邪薬だけをもらっていたりすると、症状が悪化したり慢性化したりする恐れがあります。副鼻腔炎を疑ったら、迷わず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
副鼻腔炎の専門的な診断と治療は何科?