手足口病は、主に乳幼児や学童期の子供たちがかかる感染症として知られていますが、大人も感染する可能性があります。子供が手足口病にかかった場合、一般的にはかかりつけの小児科を受診することが多いでしょう。では、大人が手足口病にかかった場合、子供と同じように小児科を受診するわけにはいきません。大人の場合は、どの診療科を受診するのが適切なのでしょうか。結論から言うと、大人が手足口病の疑いで受診する主な診療科は、内科または皮膚科です。どちらを受診するかは、症状の出方や、ご自身の状況によって判断すると良いでしょう。例えば、発熱、倦怠感、喉の痛みといった全身症状が強く出ている場合や、過去に他の感染症で内科にかかった経験がある場合は、内科を受診するのが一般的です。内科医は、全身の感染症に対する診断・治療経験が豊富であり、手足口病の対症療法(解熱鎮痛薬の処方など)や、万が一の合併症(髄膜炎や心筋炎など、まれですが注意が必要)への対応も視野に入れた診療を行ってくれます。一方、手足の水疱性の発疹やかゆみ、痛みが主な悩みである場合や、発疹の診断をより確実にしたいと考える場合は、皮膚科を受診することも良い選択です。皮膚科医は、様々な発疹性疾患の専門家であり、手足口病に特徴的な発疹の性状から診断を下し、皮膚症状に対する適切な外用薬(塗り薬)やかゆみ止めの内服薬などを処方してくれます。子供の場合は小児科が第一選択となりますが、これは小児科医が子供の成長発達や特有の疾患、薬の投与量などに精通しているためです。大人の場合は、内科医や皮膚科医が、成人の身体的特徴や合併症のリスクを考慮した上で診療を行います。したがって、子供が手足口病にかかったからといって、親である大人が同じ小児科を受診することは適切ではありません。大人は、内科または皮膚科の医師に相談しましょう。いずれの科を受診するにしても、医師には、身近に手足口病の患者(特に子供)がいるかどうかを伝えることが診断の助けになります。手足口病は特効薬がないため、治療は症状を和らげる対症療法と安静が基本となりますが、適切な診断とアドバイスを受けることで、よりスムーズな回復が期待できます。