大人がりんご病にかかる場合、その感染源の多くは子ども、特に集団生活を送っている自分の子どもや孫からというケースがほとんどです。家庭内や職場での感染拡大を防ぐためには、りんご病の感染経路といつまで他者にうつす可能性があるのかを正しく理解しておくことが非常に重要になります。りんご病の原因であるパルボウイルスB19の主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」です。飛沫感染は感染者の咳やくしゃみ、会話などによって空気中に飛び散ったウイルスを含む飛沫を周囲の人が吸い込むことで感染する経路です。接触感染はウイルスが付着したドアノブやおもちゃ、タオルなどに触れた手で自分の目や鼻、口を触ることによって粘膜からウイルスが侵入する経路です。ではいつの時期が最も感染力が強いのでしょうか。りんご病の感染性のある期間は、その症状の現れ方と少しずれているのが特徴です。ウイルスが体外に最も多く排出され他者への感染力が最も強くなるのは、実は発疹が現れる1週間から10日ほど前の潜伏期間の後半から、発熱などの風邪のような症状が出ている前駆期にかけてです。この時期はまだりんご病に特徴的な発疹が出ていないため、本人も周囲もただの風邪だと思い込んでおり、知らないうちに感染を広げてしまっているというケースがほとんどなのです。そしてりんご病の診断の決め手となる「頬の赤み」や「レース状の発疹」が現れた時には、すでにウイルスの排出量はピークを過ぎており感染力はほとんどなくなっているとされています。したがってりんご病は学校保健安全法においても、インフルエンザや水疱瘡のように出席停止期間が定められている感染症には指定されていません。発疹が出ていても全身状態が良ければ、登園や登校、出勤も基本的には可能とされています。しかしこれはあくまで一般的な話です。特に後述する妊婦への感染という重大なリスクを考えると、症状がある間はできるだけ人混みを避けるなどの配慮が求められます。
りんご病の感染経路とうつる期間