風邪をひいた後、いつまでも鼻水が止まらなかったり、鼻づまりが改善しなかったり、あるいは色のついたネバネバした鼻水が出るようになったりすることがあります。このような長引く鼻の不調は、単なる風邪の治り残りではなく、副鼻腔炎を発症しているサインかもしれません。では、このような場合、どの診療科を受診するのが適切なのでしょうか。その専門家は、耳鼻咽喉科医です。耳鼻咽喉科は、鼻、副鼻腔、喉、耳の疾患を専門的に診療する科であり、副鼻腔炎の診断と治療において中心的な役割を担っています。副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が起こる病気です。風邪などのウイルス感染をきっかけに、細菌による二次感染が起こったり、アレルギー反応が関与したりして発症します。主な症状としては、膿性の鼻水(黄色や緑色)、鼻づまり、後鼻漏(鼻水が喉に流れる感じ)、咳、痰、頭痛、顔面痛、嗅覚障害などが挙げられます。これらの症状が数週間以上続く場合は、副鼻腔炎の可能性を疑い、耳鼻咽喉科を受診することを強くお勧めします。耳鼻咽喉科では、まず問診で症状の経過や程度を詳しく確認します。その後、鼻鏡やファイバースコープ(鼻腔内視鏡)を用いて鼻の中を直接観察し、鼻粘膜の状態や鼻水の性状、副鼻腔の開口部の様子などを調べます。これにより、炎症の有無や程度、ポリープ(鼻茸)の存在などを確認できます。必要に応じて、レントゲン検査やCT検査といった画像検査を行い、副鼻腔内の炎症の広がりや膿の貯留具合を評価します。これらの検査結果を総合的に判断して、副鼻腔炎の診断が下されます。治療は、炎症を抑える薬、細菌感染が原因であれば抗生物質、鼻水を排出しやすくする薬などが処方されます。また、クリニックでは鼻水の吸引やネブライザー療法(薬液の吸入)といった処置も行われます。長引く鼻の不調を「いつものことだから」「風邪が治りにくいだけ」と自己判断して放置してしまうと、症状が悪化したり、慢性副鼻腔炎に移行したりする可能性があります。慢性化すると治療が長引くこともあるため、早期に耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
長引く鼻の不調、副鼻腔炎なら何科へ?