お子さんのおしりから血が出ているのを見つけると、親御さんとしては非常に心配になるものです。特に、お子さんが痛みを訴えていない場合、「何が原因なのだろうか」「すぐに病院へ行くべきか」「何科を受診すれば良いのか」と多くの疑問が頭をよぎるでしょう。子供のおしりからの出血で、鮮血であり痛みを伴わない場合、まず考えられるのは便秘に伴う切れ痔(裂肛)です。子供は消化機能が未熟だったり、偏食や水分不足、あるいはトイレを我慢してしまったりすることで便秘になりやすい傾向があります。硬くなった便を無理に出そうとするときに、肛門の皮膚が切れて出血することがあります。ごく軽い切れ痔であれば、強い痛みを伴わずに少量の鮮血が付着する程度で済むこともあります。この場合、まずはかかりつけの小児科を受診するのが一般的です。小児科医は子供の病気全般に精通しており、便秘の治療や生活指導、必要に応じて軟膏の処方などを行ってくれます。また、まれではありますが、アレルギー性の腸炎(新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症など)によって血便が見られることもあります。この場合は、特定の食物(牛乳など)を除去することで症状が改善することがあります。これも小児科で相談し、診断や指導を受けることができます。その他、年長児であれば、大人と同様に内痔核の初期症状として無痛性の出血が見られる可能性もゼロではありませんが、頻度は高くありません。もし、出血が続く場合や量が多い場合、あるいは他の症状(腹痛、嘔吐、体重減少、元気がないなど)を伴う場合には、より専門的な検査が必要になることもあります。その際は、小児科医から小児外科や小児消化器科といった専門診療科を紹介されることがあります。小児外科では、肛門周囲の診察や、必要に応じてより詳しい検査(例えば、直腸肛門内圧検査や、まれですが内視鏡検査など)が行われることもあります。重要なのは、自己判断せずに、まずはかかりつけの小児科医に相談することです。医師は、お子さんの年齢や症状、全身状態などを総合的に判断し、適切なアドバイスや治療、必要であれば専門医への紹介を行ってくれます。出血の色や量、便の状態(硬さ、色など)、食事内容、排便時の様子などを詳しく医師に伝えることが、正確な診断への近道となります。親御さんの不安を解消するためにも、早めの受診を心がけましょう。