手足口病は、ウイルス感染によって引き起こされる、手、足、口の中に水疱性の発疹ができる病気です。主に子供の間で流行しますが、大人も感染し、その場合は症状が重くなる傾向があります。では、大人が手足口病を疑った場合、いつ、どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。まず、受診のタイミングですが、基本的には「症状が現れたら早めに」が原則です。特に、以下のような症状が見られた場合は、医療機関の受診を検討しましょう。一つ目は、三十八度以上の高熱が出た場合です。大人の手足口病では、子供よりも高熱が出やすいと言われています。二つ目は、手のひら、足の裏、口の中に水疱性の発疹が現れた場合です。これが手足口病の最も特徴的な症状です。三つ目は、口の中の痛みが強く、食事や水分摂取が困難な場合です。脱水症状を防ぐためにも、早めの対処が必要です。四つ目は、強い倦怠感や頭痛、筋肉痛など、全身症状が顕著な場合です。これらの症状が複数見られる場合は、手足口病の可能性が高いと考えられます。受診する診療科については、主に内科または皮膚科が選択肢となります。内科は、発熱や倦怠感、喉の痛みといった全身症状の管理や、感染症全体の診断・治療を行います。特に、全身状態が悪く、体調が著しくすぐれない場合は、内科を受診するのが良いでしょう。また、まれに起こる髄膜炎や脳炎、心筋炎といった重篤な合併症への初期対応も期待できます。皮膚科は、発疹の専門家です。手足の発疹が主な症状で、その診断や治療(かゆみ止めや痛み止めの処方など)を希望する場合は、皮膚科が適しています。医師は、症状や流行状況などを総合的に判断して診断を下します。手足口病には特効薬がないため、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。解熱鎮痛薬、口腔内の痛み止め、皮膚症状に対する外用薬などが処方されます。最も重要なのは、十分な休養と水分補給です。自己判断で市販薬のみに頼ったり、無理をして仕事や外出を続けたりすると、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。また、周囲への感染拡大を防ぐためにも、医師の指示に従い、必要であれば自宅療養を心がけましょう。大人の手足口病はつらいですが、適切なタイミングで適切な診療科を受診し、医師のアドバイスを受けることが、早期回復への近道です。