睡眠時無呼吸症候群と聞くと、多くの人がまず「大きないびき」を連想するかもしれません。しかし、それ以外にも多岐にわたる症状が現れることがあり、必ずしもいびきを伴わないケースも存在します。睡眠時無呼吸症候群の症状の多様性を理解することは、早期発見と適切な対処につながります。まず、夜間の症状としては、いびきに加えて「呼吸の停止」や「浅い呼吸」が挙げられます。これは寝室を共にする人に指摘されることが多いですが、本人は自覚していないことがほとんどです。呼吸が苦しくなって「夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)」こともあります。目が覚めたことを覚えていなくても、無意識のうちに睡眠が分断され、質が低下します。また、「寝汗をかく」「夜間の頻尿」も比較的よく見られる症状です。無呼吸状態から呼吸を再開する際に交感神経が興奮したり、利尿ホルモンの分泌が促されたりすることが原因と考えられています。さらに、「寝相が悪い」「歯ぎしりをする」といった症状が現れることもあります。これらは、睡眠中に無意識の体の動きとして現れるものです。日中の症状としては、やはり「強い眠気」が最も代表的です。しかし、眠気だけでなく、「起床時の頭痛や頭重感」「倦怠感や疲労感」「集中力や記憶力の低下」といった症状も重要です。これらは、夜間の質の悪い睡眠が原因で引き起こされます。「口の渇き」もよく訴えられる症状で、睡眠中に口呼吸になっていることを示唆します。精神的な側面では、「気分の落ち込みやイライラ感」「不安感」「意欲の低下」といった変化が見られることもあります。これは、慢性的な睡眠不足が精神状態に影響を与えるためです。さらに、身体的な変化として、「高血圧」や「不整脈」といった循環器系の問題が顕在化してくることもあります。睡眠時無呼吸症候群は、これらの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。また、まれではありますが、「逆流性食道炎」の症状が悪化したり、「性機能の低下」が見られたりすることもあります。このように、睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠中だけでなく日中の活動や精神状態、さらには全身の健康状態にまで及びます。いびきという特定の症状だけに注目するのではなく、これらの多様なサインに気づき、総合的に判断することが大切です。もし複数の症状に心当たりがある場合は、専門医に相談することを強くお勧めします。
いびきだけじゃない!睡眠時無呼吸症候群の多様な症状