大人が手足口病にかかると、子供よりも症状が重くなる傾向があり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。いざという時に慌てないためにも、どのような症状が出たら、どの診療科を受診すべきかを知っておくことは大切です。まず、手足口病の典型的な症状を再確認しましょう。初期には、発熱(高熱になることも)、強い倦怠感、頭痛、喉の痛みなどが現れます。これらの症状に続いて、手のひら、足の裏、口の中に水疱(水ぶくれ)を伴う発疹が出現します。口の中の発疹は強い痛みを伴う口内炎となり、食事や水分摂取が困難になることもあります。手足の発疹も、かゆみだけでなく、ピリピリとした神経痛のような痛みを伴うことが特徴です。では、これらの症状が出た場合に、どの診療科を選ぶべきか、具体的なケースを考えてみましょう。ケース1:高熱、強い倦怠感、喉の激しい痛みが主な症状の場合。この場合は、まず内科を受診することをお勧めします。これらの全身症状に対する対症療法(解熱鎮痛薬の処方など)や、脱水予防のための指導、そしてまれながら起こりうる髄膜炎や心筋炎といった合併症の初期兆候がないかの確認も行ってもらえます。ケース2:手足の発疹が非常に多く、強いかゆみや痛みを伴う場合。この場合は、皮膚科の受診が適しています。皮膚科医は発疹の専門家であり、手足口病の診断はもちろん、発疹の性状に合わせた適切な外用薬(塗り薬)や、かゆみを抑える内服薬などを処方してくれます。また、他の皮膚疾患との鑑別も行ってもらえます。ケース3:口の中の口内炎が多数できて、食事や水分が全く摂れないほど痛い場合。この場合も、まずは内科を受診し、全身状態の評価と痛み止め(うがい薬や内服薬)の処方、脱水予防の指導などを受けるのが良いでしょう。状況によっては、耳鼻咽喉科でも口内炎の治療に対応してくれる場合がありますが、全身症状を伴う手足口病の場合は内科が第一選択となることが多いです。ケース4:症状は軽いが、周囲で手足口病が流行しており、自分もそうではないかと心配な場合。この場合も、内科か皮膚科で相談してみましょう。医師に状況を伝え、診察を受けることで、適切な診断とアドバイスが得られます。いずれの科を受診するにしても、医師には、いつからどのような症状があるのか、身近に手足口病の人がいるかなどを正確に伝えることが重要です。
大人の手足口病、こんな症状なら何科へ?