低血糖は一度経験すると非常に不快なものであり、その頻度が高くなると日常生活にも大きな影響を及ぼします。単発的な低血糖であれば、糖分を摂取することで対処可能ですが、頻繁に低血糖を繰り返す場合は、医療機関での詳細な検査や治療計画の見直しが不可欠となります。では、どのような場合に「頻度が高い」と判断し、病院を受診すべきなのでしょうか。まず、週に数回以上、低血糖の症状が現れる場合は、明らかにその頻度が高いと言えます。特に、糖尿病治療中でインスリン注射や経口血糖降下薬を使用している方であれば、これは薬剤の量や種類、あるいは食事・運動とのバランスが適切でない可能性を示唆しています。自己判断で薬の量を減らしたり中止したりすることは非常に危険であり、かえって高血糖や他の合併症を引き起こすリスクがあります。必ず主治医に相談し、薬の調整や治療計画の見直しを依頼してください。次に、特定の時間帯や状況で低血糖が頻繁に起こる場合も、受診のサインです。例えば、食前や食後数時間、あるいは運動後にいつも低血糖になるというパターンがある場合、その原因を突き止める必要があります。食事の内容やタイミング、運動の種類や強度と薬剤の効果の間にずれが生じている可能性が考えられます。詳細な問診や、血糖値の連続測定(CGMなど)によって、原因を特定し、よりパーソナライズされた治療計画を立てることが可能になります。また、夜間低血糖が頻繁に起こる場合も、早期の受診が推奨されます。夜間の低血糖は、気づかずに重症化するリスクが高く、睡眠の質を低下させるだけでなく、心臓への負担も大きくなることがあります。朝起きたときに倦怠感や頭痛がある、寝汗をかくといった症状は、夜間低血糖の兆候である可能性があります。これらの症状が頻繁に現れる場合は、早めに医師に相談し、夜間の血糖管理について見直す必要があります。さらに、低血糖の頻度が高くなるにつれて、自覚症状が薄れる「無自覚性低血糖」に陥るリスクも高まります。これは、体が低血糖の状態に慣れてしまい、警告となる初期症状を感じにくくなる現象です。無自覚性低血糖は、重症の低血糖に突然陥る危険性が高いため、非常に注意が必要です。
低血糖の頻度が高い場合の病院受診のタイミング