低血糖の症状は多岐にわたり、時に他の病気や体調不良と紛らわしいことがあります。正確な診断と適切な対処のためには、低血糖と他の症状を見分ける知識が重要です。ここでは、低血糖と紛らわしい症状の例を挙げ、病院受診の判断基準について解説します。まず、低血糖の典型的な症状である「手の震え」「発汗」「動悸」「空腹感」などは、不安発作やパニック障害の症状と似ていることがあります。しかし、低血糖の場合、これに加えて「集中力の低下」「頭痛」「めまい」「視力低下」などの神経症状を伴うことが多いのが特徴です。また、糖分を摂取することで症状が速やかに改善するかどうかが、低血糖を見分ける重要なポイントとなります。不安発作であれば糖分摂取で改善することは稀です。次に、「倦怠感」や「脱力感」は、風邪の初期症状や疲労、貧血など、多くの体調不良で見られます。低血糖による倦怠感や脱力感は、多くの場合、急激に現れ、糖分摂取によって速やかに回復するという特徴があります。一方、風邪や疲労によるものであれば、糖分摂取では改善せず、休息が必要となります。貧血の場合は、徐々に症状が悪化し、顔色が悪くなるなどの特徴が見られます。また、低血糖による「意識の混乱」や「異常行動」は、脳血管障害(脳卒中など)や、認知症の症状と混同されることがあります。特に高齢者の場合、これらの症状が低血糖によるものとは気づかれにくいことがあります。しかし、低血糖による意識障害は、糖分摂取によって比較的早く改善する傾向があります。脳血管障害の場合、手足の麻痺や言語障害など、特定の神経症状を伴うことが多く、糖分摂取では改善しません。どちらの可能性も考えられる場合は、迷わず救急車を呼ぶべきです。さらに、「めまい」は、内耳の疾患や脳の病気、貧血などでも起こります。低血糖によるめまいは、多くの場合、他の低血糖症状と同時に現れ、糖分摂取によって改善します。