糖尿病患者にとって低血糖は、治療の過程で避けられないリスクの一つです。しかし、全ての低血糖が病院受診を必要とするわけではありません。ここでは、糖尿病患者がどのような状況で病院へ行くべきか、具体的な判断基準を解説します。まず、軽度の低血糖で意識がはっきりしており、自分で糖分を摂取できる場合は、一般的に自宅での対処が可能です。ブドウ糖タブレットやジュースなどを摂取し、15分ほど安静にして症状が改善するか確認してください。症状が改善すれば、主治医への報告は必要ですが、緊急の受診は不要な場合が多いです。しかし、以下に示す状況では、医療機関の受診を強く推奨します。第一に、重度の低血糖に陥った場合です。具体的には、意識がもうろうとして呼びかけに反応しない、自分で糖分を摂取できない、けいれんを起こしている、あるいは完全に意識を失っている状態です。これらは緊急性の高い症状であり、速やかに救急車を呼ぶか、緊急で医療機関を受診する必要があります。脳へのブドウ糖供給が滞ると、脳機能に深刻なダメージを与える可能性があるため、迅速な医療介入が不可欠です。第二に、糖分を摂取しても症状が改善しない場合や、一時的に改善してもすぐに症状が再発する場合です。これは、単なる血糖値の低下だけでなく、他の原因が隠れている可能性や、血糖値を維持するメカニズムに何らかの問題が生じている可能性を示唆しています。この場合も、早めに医療機関を受診し、原因を特定し適切な処置を受ける必要があります。第三に、低血糖の頻度が非常に高い場合です。例えば、週に数回以上低血糖を繰り返したり、夜間低血糖が頻繁に起こったりする場合です。これは、糖尿病の治療計画、特にインスリンの量や経口血糖降下薬の種類、食事内容や運動量とのバランスが適切でない可能性が高いです。自己判断で薬の量を調整するのは危険なので、必ず主治医に相談し、治療計画の見直しを依頼してください。第四に、「無自覚性低血糖」の兆候がある場合です。これは、低血糖の初期症状(震え、発汗など)を感じにくくなる状態で、気づかないうちに重症の低血糖に陥るリスクが高まります。もし、以前よりも低血糖の症状を感じにくくなったと感じる場合は、速やかに医師に相談し、適切な評価を受けることが重要です。